キャッシュレス化の未来

…配信元を読む

世界一キャッシュレス化が進む国スウェーデンの
「お金の存亡」をめぐる闘い

月曜午前のスウェーデンの銀行ほど、退屈なものはない。誰もが北欧諸国に特有の有能さで黙々と仕事をこなしている。外は寒くて、たぶん曇り空だ。

ところが2013年4月22日、大手銀SEBのストックホルム・エステルマルムストーリ支店では様子が違った。朝10時半、黒い帽子をかぶった男が建物に飛び込み、強盗だ!」と叫んだのだ。男は片手で行員たちに銃を向けながら、もう片方の手に持った布の袋を差し出した。現金を入れろ!」

恐怖を感じていたとしても、特に誰もそれを表には出さなかった。行員たちは侵入者に対し、要求を満たすことはできないと静かに伝えた。支店に現金は置いていないからだ。金庫室にも窓口にも、まったくない。混乱した様子の強盗は、壁に貼ってあるポスターを見せられた。そこにはここが「キャッシュレス」支店だということが明示されている。

申し訳ないのですが、本当なんです」と支店長は彼に伝えた。うなだれた男は銃を下げて支店をあとにしかけたが、外に出る前に窓口の係員の1人に向かって「ここ以外、どこに行けっていうんだ?」と尋ねた。

未来が訪れた国

実際のところ、この銀行強盗に与えられた選択肢はかなり限られている。彼が気づかなかったのは、この国は世界的な経済変化の最前線にいるということだ。金融業界における現金は、現代のオフィスでの紙の束のようなものだ。ますます不要になり、視界からも消えつつある。

スウェーデンは長きにわたって時代の先駆者だった。350年以上前に欧州初の紙幣を発行したこの国はいま、世界で初めてそれを廃止する国になろうとしている。

そして世界のいくつかの国は、こうした未来をより早く先取りしている。米国は、少なくとも道のりの半分に達している。連邦準備制度(FRS:Federal Reserve System)によると、米国の商取引のうち現金での決済は46パーセントにとどまり、残りはクレジットカードや小切手、モバイル決済で行われている。カードリーダーの「Square、送金ツールの「Venmo、あるいは「Apple Pay」や「Google WalletPayPal」といった電子金融取引のプラットフォームが増えるにつれ、お金を使うことはまるで携帯電話でテキストを送るかのように簡単で素早くでき、また楽しい行為になった。

こうした現状に不安に覚える人もいるだろう。しかし、個人情報の漏洩やなりすましなどのセキュリティー上の懸念が叫ばれる一方で、現金のない世界」はすぐにとはいわなくとも、いずれは実現するもののように思われる。

お金は楽しくない、とそのポップスターは気づいた

マネー、マネー、マネー
楽しいに違いない
お金持ちの世界のなかは
マネー、マネー、マネー
いつだって晴れ
お金持ちの世界のなかは

ABBAの「マネー、マネー、マネー」は1976年にリリースされた。ベニー・アンダーソンとともにこの曲を書いたビョルン・ウルヴァースは、ミュージックヴィデオで長い髪とラインストーンをあしらった着物風の衣装を見せびらかしている。

40年後、ストックホルム郊外の高級エリア、ユルスホルムに居を構える億万長者となったウルヴァースは、結局のところ、お金というのはそれほど楽しいものでもないのかもしれないと思い始めていた。1人目のビョルンを紹介しよう。スウェーデンのキャッシュレス化運動を率いる人物だ。

ABBAの元メンバーで現金を消すべく活動を行う、ビョルン・ウルヴァース。

キャッシュレス化社会を支える“未来のあたりまえ”

社会のキャッシュレス化が進むなか、DNPは買いものに新たな循環を生み出す「決済連動マーケティング事業」を立ち上げ、決済分野における新たな枠組みづくりに取り組んでいます。

東京五輪に向け、
決済インフラの整備が加速

いま、決済の分野では、クレジットカードやデビットカードなどを利用したキャッシュレス化が世界的な流れになっています。他国に比べて現金決済が多い日本においても、利便性・効率性・安全性の観点から、政府はキャッシュレス化を成長戦略の一つに掲げています。すでに訪日外国人によるインバウンド市場は盛り上がりを見せていますが、2020年の東京五輪に向け、決済インフラの整備はさらに加速していくはずです。また、地域経済活性化を目指し、地方銀行を中心にデビットカードの投入も検討されています。

ビジネスの面では、実店舗やオンラインストアなどの販売チャネルや流通チャネルを統合し、どこからでも同じように商品を購入できるようにするオムニチャネルの浸透も、キャッシュレス化への追い風になっています。顧客の囲い込みという視点では、プリペイドカードなどを利用して“現金+ポイント”から“電子決済+ポイント”での展開にシフトしていくと見られ、たとえば、電子決済時のポイント倍付け、といった差別化の施策も展開しやすくなります。特にプリペイドカードについては、キャッシュフローを健全化するというその特性もあいまって、現在、幅広い業種の企業に浸透しつつあります。

DNPはこうした市場背景を踏まえ、現金感覚で使え、既存のクレジットカード端末を利用できる国際ブランドプリペイド(※1)や国際ブランドデビット、また、特定の店舗のみで利用できるハウスプリペイドといった決済サービスを提供するなど、様々なアプローチでキャッシュレス化社会を支えています。

※1「国際ブランドプリペイド」=対応するクレジットカード端末であれば世界中どこでも使える事前チャージ式のプリペイドカードによる決済サービス。

経験豊富な専門部署が連携する
ソリューション開発

印刷技術を核に様々な事業領域を広げてきたDNPは、決済などの金融分野、ポイントサービスなどの顧客管理の分野においても多くの実績をもっています。

1981年からICカードの開発に着手した当社は、IC付きキャッシュカードやクレジットカード、電子マネーなどを含むICカード市場でナンバーワンのシェアを獲得しています(下のコラム参照)。2004年には、ICカードの即時発行などの業務支援サービスを開始。また、ICカード技術の柱である“認証技術”を活かして開発した、オンラインショッピング時のカード決済を安全に行うための本人認証ソフトウェアは、国内開発の製品としては初めて国際ブランドの認定を受けています。

さらにソリューション開発にあたっては、生活者視点で様々な課題を考察する部門やマーケティング部門など関連性の高い専門部署が連携し、企画から運用に至るまで総合的にサポートできるのが、DNPならではの特長です。

2020年に向けて進むキャッシュレス化。
企業にとっての「電子決済」のメリットとは?

先日、政府は2017年度から公共料金や備品経費の支払いを全面的に電子決済にすることで、30億円の人件費削減が期待できるという発表をしました。

電子マネーやクレジットカード、ネットバンキングの普及により、私たちは現金だけではなく、時間と手間のかからない電子決済を活用する機会が増えていますが、それは企業や法人にとっても大きなメリットがあるようです。

そこで今回、現金決済から電子決済へとキャッシュレス化が進む中で、ビジネスにおいて、企業や法人にとってどういったプラスがあるのか、金融・決済の専門家である宿輪純一(しゅくわ・じゅんいち)氏に聞いてみました。

2020年に向けて進む社会のキャッシュレス化

syukuwa-14.jpg宿輪純一:1963年生まれ。帝京大学経済学部教授・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・博士(経済学)。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒。87年富士銀行。98年三和銀行に転職。06年合併で三菱東京UFJ銀行(企画部経済調査室等)。15年現職。財務省・金融庁・経産省・外務省、全銀協等の委員会に参加。主な著書に『決済インフラ入門』(東洋経済)、『通貨経済学入門(第2版)』(日経新聞)『金融が支える日本経済』(共著:東洋経済)などがある。
── 2020年に向けて、政府はキャッシュレス化の環境整備を進めていますが、その理由は?

宿輪氏:東京オリンピックに向けた環境整備を進める理由として挙げられるのは、まず海外から大量に訪れるであろう外国人への対応です。クレジットカード等の電子決済が主流になれば、外貨を両替したり、ATMから日本円を引き出す手間が省けます。多額の現金を持ち歩く必要もなくなるので、支払いに関する不安や問題を解決することができるでしょう。

諸外国と比べて日本ではいまだ現金による支払いが主流となっているので、東京オリンピックを契機に電子決済の普及を推し進めようという狙いもあると思います。
── 個人消費において、電子決済の比率が海外と比べて低い理由はなんですか?

宿輪氏:電子マネーやクレジットカードが普及していても、銀行など金融機関のATMには行列ができています。海外の先進国と比べて、日本人は現金を好むのです。

しかし、社会人はもちろん、大学生でも電子マネーやクレジットカードを所有しスマホで決済ができる時代なので、電子決済に抵抗感がある人が少なくなってきているのも事実です。決済端末などのインフラがリテールをはじめとした企業へさらに整備されていけば、個人消費の分野では電子決済の普及はさらに進んでいくでしょう。
── 電子決済を浸透させるために必要なことなんでしょうか?

宿輪氏:利用者側にとっての「コスト」と「利便性」と「安全性」の確保と、先ほどの話の通り、電子決済を可能にする決済端末=インフラの普及が必須だと思います。
── では、日本の”企業”におけるキャッシュレス化の現状はどうでしょうか?

宿輪氏:経費精算などが顕著ですが、個人消費以上に現金の支払いが多いのが現状です。個人消費に比べて、企業におけるお金の出入りや管理は圧倒的に複雑なので、コスト管理の面でも電子決済化を促進すべきですし、政府が2017年度から経費などの支払いを全面的に電子決済化する意義は大きいわけです。

海外と比較した日本の中堅企業の経費決済方法【日本の中堅企業】
現金53%、クレジットカード10%、電子決済(クレジットカード除く)7%、小切手16%、そのほか14%
【アメリカ】
現金13%、クレジットカード29%、電子決済(クレジットカード除く)18%、小切手16%、そのほか6%
【ドイツ】
現金15%、クレジットカード24%、電子決済(クレジットカード除く)27%、小切手13%、そのほか20%
*アメリカン・エキスプレス世界7カ国中堅企業調査(2014年)より

コスト削減など、企業の新しいあり方をつくり出す電子決済

161129american_express3.jpg
―― 電子決済が普及し、消費者がまったく現金を使わなくなった場合、企業にとってもメリットが大きそうですね。

宿輪氏:そうですね。まず、小売店の立場で見るならば、商品を売って代金を現金で支払われた場合、それを銀行に入金しなければいけません。しかし、クレジットカードや電子マネーでそれがすでに電子化されていたら、現金の管理をしなくていいわけですよね。現金の対応というのはいろいろと手間がかかるので、電子決済の普及がどんどん進んでいった方が、企業にとっても人件費などコスト削減になると思います。

やはり、金融というのはそもそもお客様の代行業なんです。現金の管理をクレジットカード会社等が代わりにやってくれるわけですから、それはすごく楽ですよね。

…続きは元サイトよりご覧ください!

保存

保存

保存

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*